10月31日から2週間にわたり、英国グラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催される。昨年に開催される予定だったが、コロナ禍により1年延期された。COP26の注目点について、大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘教授であり、英国の信用リスク・マネジメント・コンサルティング会社Core Competence Management International代表の戸田洋正氏に話を聞いた。

■日本の経済産業政策の根幹が揺らぐ恐れ

 今回の注目点の1つは石炭火力発電に対してCOP26として新たな方針を打ち出すかどうかだ。COP26の議長を務めるアロック・シャルマ氏は石炭火力発電について「過去の歴史とすべきである」とのコメントを発信している(注)。COP26の議長として具体的成果を出すには、持論である石炭火力発電の廃絶に向けた何らかの決定を目指すのは間違いないだろう。それは日本の経済産業政策の根幹を揺るがす恐れがあり、日本人としては最大の注目点だと感じている。岸田文雄首相がこの問題への対応を誤ると、主要7カ国(G7)だけでなく世界中から孤立するリスクがあり、岸田外交の力量が問われる。

■市場メカニズムのルール作り、不安材料多い

 2016年に発効したパリ協定はまだ第6条の市場メカニズムのルールづくりが合意できてない。市場メカニズムを生かして温室効果ガス(GHG)を減らすカーボンプライシングが有効な手段の一つであることは各国とも異論のないところだ。しかし、炭素税はスウェーデンが排出量1トンにつき137ドルであるのに対して日本は3ドルなど、国によって価格に大きな乖離があるのが実情だ。排出量取引制度(ETS)についても価格の上昇が自国産業の国際競争力の足かせになるとの懸念がくすぶる。中国と米国が協調できるかなど、不安材料が多いだろう。

■先進国と途上国との協力関係にどこまで迫れるか

 中国は現在、世界最大のGHGの排出国だが、発展途上国を合計すると、ほぼ同水準のGHGを排出している。一国だけの排出量を見ると小さいが、途上国合計の排出量は巨大だ。中国と発展途上国の積極的な削減協力無くしてネットゼロは実現できない。これこそが、先進国だけを対象とした京都議定書と異なり、途上国にも法的拘束力を広げたパリ協定の最も重要な点であり、その目的にCOP26がどこまで迫れるかが着目点であると考えている。その意味でも先進国が途上国に約束したものの達成していない100億ドルの緑の気候基金(GCF)についての議論も注視する必要がある。

(注)https://www.gov.uk/government/speeches/coal-power-should-be-assigned-to-history-to-keep-to-15-degrees 参照


QUICK ロンドン支店長 兼 ESG研究所 後藤 弘子