ドイツのESG評価会社アラベスクS-Rayによる2021年6月30日時点の日本企業のESGスコアをランキングしたところ、上位10社の顔ぶれは1年前と比べ6社が入れ替わった。トップ10を維持したのは、首位のオムロン(6645)、3位の東京エレクトロン(8035)、4位のポーラ・オルビスホールディングス(4927)、6位の日東電工(6988)の4社。3か月前と比べても5社が入れ替わっており、高い評価を維持するのは難しいようだ。

オムロン、東エレク、ポーラHD、日東電の4社はトップ10を維持

 オムロンのESGスコアは73.93点。3カ月前と1年前も首位で、安定感が際立っている。2位のユニ・チャーム(8113)は72.81点。1年前には63.82点で64位だったが、3カ月前の順位は3位だった。両社は世界企業ランキングでも今回それぞれ5位、9位とトップ10社に入った。
chart1
 

 東エレクは1年前も3位で、ポーラHDは1年前の2位、日東電は5位からそれぞれ順位をやや下げたが、ESGスコアは総じて安定している。今回5位のコスモス薬品(3349)は、1年前は80位、3カ月前は133位タイであり、上昇が目立つ。

 今年6月30日時点の日本企業562社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が258社と最も多く、40点以上50点未満が143社、60点以上70点未満が102社で続いた。平均は52.34点だった。

 アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の7000社を超す企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。

コスモス薬品、5位に上昇も過去1年の株価はさえない

 コスモス薬品の今年6月30日時点のESGスコアは69.87点(国内企業5位)と、今年3月31日時点の59.01点(同133位タイ)を大きく上回った。ESGスコアを構成する3つのサブスコアを比べると、環境が44.57点から61.21点に、社会は52.36点から66.39点に、企業統治は71.84点から75.38点にそれぞれ上がった。

 コスモス薬品のホームページをみると、会社情報の中で「CSRおよびESGへの取り組み」について記載している。例えば環境分野では「バイオマス50%のレジ袋採用および使用率の抑制」や「CO2排出削減」に向けた対応などを紹介している。こうした取り組みが評価につながっているとみられる。

 コスモス薬品の株価をみると、1年前比騰落率が1.5%下落、3カ月前比騰落率は5.6%下落とこの1年を振り返ると総じてさえない。1年前に比べて大きくESGスコアの順位を上げたユニチャームの株価も1年前比騰落率は1.1%上昇にとどまった。日経平均株価、東証株価指数(TOPIX)の1年前比上昇率は2割を超えており、比べると見劣りする。

 株価は収益をはじめ割安・割高の判断など様々な要素が影響するのでESGスコアに連動するとは限らない。アラベスクS-Ray以外にも複数のESG評価会社があり、それぞれ評価基準が異なる。ただ、市場関係者の間では企業のESGへの取り組みに対する注目度が高まっているだけに、参考情報の1つになるのは間違いないだろう。

chart2


QUICK リサーチ本部 遠藤 大義