RI2019

 2019年4月10日と11日の2日間にわたり、第8回目となるRIアジア・ジャパン2019が開催され、機関投資家、事業法人、規制当局、サービスプロバイダー、NGOなど258団体から約600名が東京ミッドタウン六本木に集結した。イベントは、2日間で合計8つの基調講演と4つの合同パネルディスカッションに加え、会場を3つに分けた20のセッション(分科会)で構成され、気候変動とSDGsをキーテーマとした、今後10年間の投資市場をあらゆる方向から定義づける主要課題について登壇者と参加者との間で活発な議論がなされた。

 初日はQUICK会長の吉岡が開会の挨拶で「ESGは投資のメインストリームとなり金融全体に拡大している。これからはインベストメントチェーンにおける実効性が求められる」と述べたのに続き、経団連企業行動・CSR委員長兼、損害保険ジャパン日本興亜株式会社会長である二宮雅也氏による基調講演からスタートした。二宮氏は、IoTやAIなど技術の進展を最大限活用し、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会である「Society 5.0」の実現およびSDGsの達成のためには、1業界、1企業、1国のみの行動ではなく、多様なステークホルダーが連携し、新たな価値創造を図ることが重要である、と述べた。2つ目の基調講演では、一橋大学特任教授の伊藤邦雄氏が、ROE(株主資本利益率)を高めることとESGに対応することは二項対立ではなく、「企業経営では両立すること(ROESG)が求められる」とし、企業と投資家が一体となり、対話を通じて価値を協創する重要性を啓発した。また、ROWとESGの両立を求めるうえで、今後は限りあるリソースを、どのようにESG/SDGs投資に配分していくかがテーマになっていくであろう、と語った。

 QUICKは2014年および2015年は共同スポンサーとして、2016年からはリードスポンサーとしてRIアジア・ジャパンを支援し、パネルディスカッションのモデレータやパネリストを務めている。

 今年は、ESG研究所 主幹の広瀬が初日の「ESGが投資リターンを向上させる根拠とは」をテーマとしたパネルディスカッションのモデレータを務めた。レスポンシブル・インベスターが世界のアセット・オーナーに対して実施している「ESGを(投資意思決定の要素に)取り入れているか?」というアンケート調査結果の報告に加え、ESG投資評価の新たな軸としてPRIが提唱するリアルワールド・インパクトの測定について、パネルとして登壇したアセット・マネージャーとアセット・オーナーがそれぞれの立場から討議した。ESG要素が投資リターンを向上させる根拠については「旅路の途中にある」というパネリストからのコメントに対しては、広瀬が「ESG投資の発展には、より客観的で透明性のある情報が重要になってくると考える」と述べた。

 リサーチヘッドの中塚は2日目の「ベンチマーキングと指標付け」をテーマとしたセッションのパネリストとして登壇した。投資家が企業評価に利用するデータの質を向上させるためにも、企業が評価のフレームワークを理解すること、そのために評価フレームワークの公開と企業とインデックスベンダーの対話が重要とコメントした。また、ESGの評価フレームワークは、欧州系の社会的インパクトを計測するものと、米国系の財務的インパクトを計測するものに分かれる傾向にあるが、双方とも重要であると述べた。

 初日のセッション終了後には、ザ・リッツカールトン東京にて参加者を交えたカクテルレセプションも催され、各国の責任投資の現状について、世界から集まった参加者が積極的に情報交換する姿が見られた。ネットワーキングは大いに盛り上がり、予定時間を約30分延長し閉会した。


QUICK ESG研究所